くすりの豆知識
「くすりの豆知識」について
このコーナーでは、くすりを正しく・安全に取り扱うための「豆知識」をできるだけ分かり易く紹介させて頂くとともに、薬や処方箋、薬剤師についての疑問にお答えしていきます。
随時、情報を更新・追加し、内容を充実していく予定ですので、どうぞご活用ください。 (2017更新)
- 質問1:「院外処方せん」について
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以前は病院内で薬をもらっていたけど、今は「院外処方せん」を受け取って、病院の外の薬局で薬を調剤してもらうようになっています。
病院で受け取るほうが便利なのに、何故、このようになっているのですか?質問1のお答え
当センターでは、厚生労働省の指導による「医薬分業」制度の推進を図るため、外来患者さまのおくすりについては『院外処方せん』を発行し、院外の薬局(保険薬局)で薬を受け取っていただいています。 患者さまご自身が「最も信頼でき、便利の良い『かかりつけ薬局』」を決めていただき、その「かかりつけ薬局」にご自身が受け取られた全ての院外処方せんを持っていくことをお勧めします。
【医薬分業のメリット】
- 院外処方せんをお渡しすることにより、処方されている薬の内容について、患者様自身が知ることができます。
- 院内で使用していない薬であっても、患者様の治療に必要な場合はその薬を処方することが可能となります。
- 病院内での「くすりの待ち時間」がなくなります。
- 全国、どの薬局に処方せんを持っていっても調剤してもらうことができますので、患者様自信が最も信頼でき、便利な薬局を選んでいただくことができます。
⇒「かかりつけ薬局」(詳しくは、大阪府薬剤師会のホームページをご覧下さい) - 複数の医療機関を受診している場合などでも、患者様が受け取られている全ての処方せんを「かかりつけ薬局」に持って行くことにより、体質等により飲んではいけない薬の確認や薬の飲み合わせ(相互作用)等の確認ができます。
- 薬局で調剤してもらう際に薬剤師とご相談いただき、変更可能な処方については、後発医薬品(ジェネリック)に変更することができます。
- 薬を1回分ずつ分けて調剤(一包化)したり、薬をご自宅まで配送してくれるなどのサービスを行っている薬局もあります。(一部の薬局です)
【医薬分業のデメリット】
- 処方せんを持って院外の薬局に行っていただかなくてはなりません。
- 患者様の支払額が増える場合があります。
- 質問2:「ジェネリック(後発)医薬品」って何ですか?
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- 質問3:「ジェネリック(後発)医薬品」を希望する場合はどうすればいいのですか?
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質問3のお答え
入院中の薬など、院内で調剤・使用する薬ではご希望に添えない場合もあります。
院外処方については原則変更可能ですが、処方の内容によりジェネリックがない場合や治療上必要と判断して医師がジェネリックへの変更を不可とした場合など、変更することができない場合があります。
院外処方せんのジェネリック医薬品への変更は、調剤を受ける際にかかりつけ薬局の薬剤師とよくご相談ください。 - 質問4:同じような症状なので、以前もらった薬を勝手に使っても大丈夫ですか?
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質問4のお答え
医師から「症状のある時だけ(頓用)使用する」ように指示された薬は、医師の指示どおり使用してください。それ以外で、残っている薬を勝手に使うのは避けてください。
薬には使用期限があり、古くなった薬は変質したり、効き目が弱くなったりしている恐れがあります。薬によって使用期限が異なりますので「症状のある時だけ使用する」よう指示された薬の使用期限は、薬を受け取った薬局でご確認ください。 - 質問5:家族が風邪をひいたので、以前自分がもらった薬を飲ませても大丈夫ですか?
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質問5のお答え
病院で処方される薬は、患者様の病状や症状・体質・体調・年齢などを考慮して、処方される患者様の疾患や症状に最も合ったものです。症状が似ているからといって、原因が同じとは限りません。
また、年齢や体重・体の状態(腎臓の働きや肝臓の働きなど)が異なれば薬の種類や量を変えなければなりません。
たとえ似たような症状でも、ご自身以外に処方された薬を使用することは避けてください。 - 質問6:受け取った薬は、どのように保管すればいいの?
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質問6のお答え
医薬品は一般的に熱(高温)・光・湿気を嫌います。保管方法に指示がない場合でも、直射日光の当たらない涼しいところに保管してください。
冷所保存の指示がある場合は、必ず「冷蔵庫」に保管してください。
その他、以下の点にもご注意ください。- 子供が間違って口にしないよう、子供の手の届かない所に保管しましょう。
- 食品と間違う恐れがありますので、食品の容器には入れないで下さい。
- 薬が入っていた袋(薬袋)や薬と一緒に受け取った説明書などは、その薬がなくなるまで保管しておきましょう。
- 保管方法について注意書きがある場合は、注意書きを守って保管しましょう。
【薬の保管方法に不明な点がある場合は、かかりつけ薬局の薬剤師にお尋ねください。】
- 質問7:いつ薬を飲めばいいの?
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質問7のお答え
内服薬(飲み薬)の用法(飲み方)でよく使われるものとしては、以下のものがあります。
- 起床時:朝起きてすぐ
- 食 前:食事の1時間前から30分前くらい
- 食直前:食事を食べ始める直前
- 食 後:食事の後、30分以内
- 食 間:食事と食事の間(食後2時間~2時間半くらいの空腹時)
- 頓用・頓服(とんよう・とんぷく):指示された症状がある時など
【わからない時やわかりにくい時は、かかりつけ薬局の薬剤師にお尋ねください。】
- 質問8:薬を飲み忘れたことに気が付いたら、その時、すぐに飲んだほうがいいの?
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質問8のお答え
薬を飲み忘れた時の対処は、その薬によって違います。
薬を指示どおりに服用しないと、期待する効果が出なかったり、副作用が発現したりすることがありますので、忘れず飲むように心がけてください。
もしも飲み忘れに気が付いた場合でも、2回分の薬を一度に飲んだり、次の服用の直前に飲んだりすると、効き目が強く出過ぎる場合がありますので避けましょう。
また、食事との関係で、食後の薬を空腹時に飲んだり、食直前の薬を食後に飲んだりすると、効果が出なかったり、逆に効果が出すぎたり、副作用が出たりすることがありますので、服用の指示(いつ飲むか)も守ってください。
但し、医師や薬剤師から「飲み忘れたときの対処法の説明」を受けている場合は、その指示に従ってください。
【飲み忘れないことが大事ですが、もし飲み忘れたときの対応を薬剤師に聞いておくようにしましょう。】 - 質問9:乳幼児に薬を与えるときに注意する事ってありますか?
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質問9のお答え
- ミルクや離乳食には混ぜないで下さい。(まずいと、以降ミルクや離乳食が嫌いになる恐れがあります)
- 薬の種類によっては、酸味のある飲料(ジュースやスポーツ飲料)に注意が必要な場合があります。
【例:クラリスロマイシンのドライシロップなど →服用後(もし、口の中に薬の粒が残っていると)、 ジュースや果物などを口にすると、強い苦味が現れる場合があります。】
どうしてもダメな時は、・・・
薬剤服用時用のゼリー製品やプリン、アイスクリームなど
《薬の種類によっては相互作用の可能性もありますので、薬剤師に確認を!》 - 質問10:「おくすり手帳」をもらったけど、これって何の役に立つの?
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質問10のお答え
おくすり手帳」は、あなたに処方された薬の名前や飲む量、回数などの記録を残すための手帳です。この記録があると、医師・歯科医師や薬剤師が、「あなたが、どのような薬をどのくらいの期間使っているか」が判断できます。他の病院や診療所などで薬を受け取るときにも、この手帳を見せることで、同じ(ような)薬が重なっていないか、併用してはいけない薬が出ていないかなど、重複投与や相互作用の確認も行ってもらえます。また、災害等の緊急時にも役に立ちます。
(この手帳には、あなたに関する情報が書かれていますので、大切に保管してください)
手帳がご入用の方や、手帳についてご不明の点は、かかりつけ薬局の薬剤師にお尋ねください。
「おくすり手帳」をお持ちの方は、病院や診療所・歯科診療所・薬局などに行くときには必ずご持参ください。
また、かかられている全ての医療機関の薬の情報を「1冊のおくすり手帳」にまとめるようにしてください。(バラバラでは、十分に役立ちません。) - 質問11:インフルエンザのお薬はいつまで飲めばいいの?
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質問11のお答え
治療のための服用や注射、予防のための服用があります。インフルエンザ治療には1回で使い切るお薬と5日間継続して服用するお薬がありますが、仮に症状がよくなっても5日間使用するタイプの薬は勝手に服用をやめずに、きっちり服用してください(副作用がない場合)。また予防のための服用による予防効果は服用期間中のみ認められています。予防服用の場合は7~10日分の服用となります。
なお、インフルエンザの治療については、現在5つの薬があります。タミフル・リレンザ・シンメトレル・イナビル・ラピアクタ・ゾフルーザです。■タミフル(オセルタミビル)
インフルエンザウイルスA型・B型に効果がある内服薬です。インフルエンザウイルスが増えるのを抑えます。カプセルと小児用のドライシロップがあります。■リレンザ(ザナミビル)
インフルエンザウイルスA型・B型に効果がある吸入薬です。専用の器具を用いて、中の薬を吸い込むようにして使用します。吸入することでインフルエンザウイルスが増殖する気道粘膜の細胞に直接働きかけ、ウイルスの増殖を抑えます。■イナビル(ラニナミビルオクタン酸エステル)
インフルエンザウイルスA型・B型に効果がある吸入薬(粉末・吸入器一体型)です。1回分吸入(10歳以上2容器を1回分として吸入、10歳未満1容器を 1回分として吸入)するだけでインフルエンザウイルスが増殖する気道粘膜の細胞に長時間にわたり貯留し、直接働きかけてウイルスの増殖を抑えます。
1度の吸入で完結するために、吸入忘れや、自己判断による中止などの心配がありません。■ラピアクタ点滴用(ペラミビル)
インフルエンザウイルスA型・B型に効果がある注射薬です。1回の点滴でインフルエンザウイルス感染症に有効で、症状に応じて追加投与することがあります。■シンメトレル
インフルエンザウイルスA型にのみ効果がある白い錠剤の内服薬です。この薬はインフルエンザウイルス(A型のみ)の増殖を抑えます。■ゾフルーザ(バロキサビル)
インフルエンザウイルスA型・B型に効果がある内服薬です。1回だけの服用で完結するため、服用忘れなどの心配がありません。これらの薬はインフルエンザ様症状の発現から48時間を越えると効果がありませんので、早めの治療開始が重要となります。妊娠している方にはシンメトレルを使用することができません。タミフル・リレンザ・イナビル・ラピアクタは妊娠している方が使用した場合でも、出生した赤ちゃんに良くないことがあったという報告はありませんが、診察を受けるときには、医師に妊娠していることを必ず伝えてください。また授乳についても医師、薬剤師によく相談するようにしてください。
小児・未成年者において、インフルエンザ発症後にお薬の服用の有無にかかわらず、「異常行動」などの精神・神経症状が発現することがあります。この異常行動による転落事故などを防ぐためにも、少なくとも2日間保護者の方は就寝中を含め、小児・未成年者が1人きりにならないようにしてください。
*吸入薬は正しく吸入しなければ、効果を得ることができません。
(吸入)薬を受け取る際は、薬剤師又は処方医師に薬の使い方をよく確認し、正しく吸入する(させる)ようにしてください。 - 質問12:「健康被害救済制度」って何ですか?
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質問12のお答え
くすりの副作用による健康被害に対する医薬品副作用被害救済制度の事です。
医薬品は、その使用に当たって万全の注意を払ってもなお副作用の発生を防止できない場合があります。そこで、医薬品を適正な使用目的に従い適正に使用したにもかかわらず副作用による健康被害が発生した場合に、医療費、医療手当、障害年金などの給付を行い、これにより被害者の迅速な救済を図ろうとするのが、この制度です。「ご存知ですか?健康被害救済制度」(PDF形式)(独立行政法人医薬品医療機器総合機構サイトより)
ただし、(医薬品を不適正な目的や方法で使用した場合の他、)次のような場合は、この制度の対象とはなりません。
- 健康被害が、法定予防接種を受けたことによるものである場合(別の公的救済制度があります。)
- 健康被害が、救命のためやむを得ず通常の使用量を超えて使用したことによるものであり、健康被害の発生が予め認識されていた場合
- 厚生労働省が指定した医薬品(抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤など)による健康被害
- 医薬品が不良医薬品であった場合など医薬品の製造販売業者などに損害賠償責任が明らかな場合
- 医薬品の副作用において、軽度な健康被害や請求期限が経過した場合
救済制度に対するお問い合わせ先
電話: 0120-149-931(フリーダイヤル) - 質問13: 「グレープフルーツジュースと一緒に服用しないでください」と書かれている薬はなぜグレープフルーツジュースと一緒に飲んではいけないのでしょうか。
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質問13のお答え
一般に薬を服用すると、肝臓や小腸で薬を分解する酵素が働き代謝されます。ところが、グレープフルーツのジュースや果肉に含まれている「フラノクマリン誘導体」は薬を分解する酵素の働きを邪魔します。そのため高血圧の治療によく使われる「カルシウム拮抗薬」の場合、薬がうまく分解されず薬の作用が強く出て血圧が下がりすぎたり、副作用が出やすくなったりすることがあります。
同様に免疫抑制剤や抗悪性腫瘍剤などの一部でもグレープフルーツにより同様に薬を分解する酵素を阻害されて、薬の作用が強く出すぎたり副作用が出やすくなったりする場合がありますので注意が必要です。
温州みかん、オレンジ、レモン、カボス、バレンシアオレンジなどにはこの「フラノクマリン誘導体」が含まれていないので問題ありません。
医薬品と食品の相互作用(飲み合わせ)について分からないことがあれば、「かかりつけ薬局」の薬剤師にご相談下さい。
- 質問14: 街の薬局や薬店で購入できる薬に、第1類・第2類・第3類とありますが、どのような違いがあるのでしょうか。
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質問14のお答え
街の薬局や薬店で市販されている医薬品を「一般用医薬品」と言い、一般用医薬品はリスクの程度に応じて、さらに3種類に分類され、対応する専門家も異なります。
薬の外箱に、第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品などの表示がされており、お店ではリスク区分ごとに区別して並べられています。
一般用医薬品も副作用が起こるリスクはゼロではありません。薬を購入する際には、薬剤師、登録販売者などの専門家に相談しましょう。
副作用が発生した場合、その健康被害が救済制度の対象(入院を必要とする程度以上)となる場合があります。申請には副作用の治療を行った医師の診断書や購入した薬局・薬店の販売証明書などの書類が必要となります。「健康被害救済制度」について詳しくは、質問12をご覧ください。 - 質問15:車の運転などに注意が必要な薬もあるのでしょうか?
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質問15のお答え
医薬品の副作用には眠気やめまいなどが起こるものがあります。これらを服用中に車を運転すると事故につながるため、注意が必要です。こういった薬には添付文書(医療従事者向けの説明書)に「運転禁止」や「運転注意」という形で記載されており、服用中は運転してはいけない、もしくはしない方が良いという事になります。
眠気を感じなければ、運転していいという訳ではありません。自分自身も気づかないうちに、集中力や判断力が低下する場合もあり、これが事故につながることもあります。また、運転をするために、自己判断で薬の服用を一時的であっても止めたり、量を調節したりすることは問題です。
道路交通法第66条に「何人も、過労、病気、薬物の影響その他の理由により正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。」と定められています。
運転をする人は必ず医師に申告するとともに、薬剤師に運転等に影響のある薬が含まれていないかどうかを確認しましょう。医師から処方される薬だけではなく、市販薬にも運転に注意が必要な薬はあります。購入時には薬剤師・登録販売者などの専門家とよく相談してください。