2024.04
ドクターコラム
「食物アレルギー」のおはなし
食物アレルギーとは
食物アレルギーは、摂取した食物に対してからだの中で免疫反応が起こり、からだのさまざまな部位にアレルギー症状が起こる現象です。免疫反応の起こり方にはIgEという免疫グロブリンが直接関与するものと、そうではないものとがあります。いわゆる卵アレルギーやナッツアレルギーなどはIgEが関与する食物アレルギー(IgE依存性食物アレルギー)で、今回はこちらの話を取り上げます。
原因食物とアレルギー症状
食物アレルギーはどの年齢でも起こりますが、小児期とくに乳児期に多いと言われています。全国エコチル調査では1歳児で7.6%、2歳児で6.7%、3歳児で4.9%と報告されています。それなりの子どもが経験することになります。子どもの食物アレルギーの主な原因食物は鶏卵、牛乳、小麦ですが、最近木の実や落花生、魚卵や果物なども注目されています。
IgE依存性食物アレルギーには、即時型症状(食べてから2時間以内に起こる反応で、皮膚が赤くなったり蕁麻疹ができたり、咳や喘息のような呼吸器症状、腹痛や嘔吐などの消化器症状、循環器や神経の症状がでる)が有名ですが、他にも食物依存性運動誘発アナフィラキシー(食物摂取だけでは症状は起こらないが、食物摂取後に運動すると症状がでる)、口腔アレルギー症候群(食物摂取直後から唇、口腔内のかゆみ、のどの違和感がでる)、食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎があります。

食物アレルギーの診断には、できるだけ具体的に食べた食品や量、いつ、どこで、どんな症状がでたかを確認して、血液検査で特異的IgE抗体価を調べ(必要時皮膚テストも)、食物経口負荷試験を行うことで確定診断をしていきます。食物経口負荷試験は、どの食物が原因かを診断するとともに、安全に食べられる量を決めたり、アレルギーがよくなってきているかを確かめたりする目的で行います。食物アレルギーでは必要最小限の食物除去とすることが大切で、成長に伴って食べられるようになることも多いので、定期的に小児科を受診し、必要に応じて経口負荷試験を受けることが重要です。
当センターでは日帰り入院で食物経口負荷試験を行っています。2022年度に行った負荷試験の年齢分布を見てみると、1歳が最も多く、3歳までで約半数を占めています。
負荷試験を行った食材を見てみると、鶏卵、牛乳、小麦、大豆、ナッツ類、甲殻類の順に多いことがわかります。
食物を摂取した後、数分~数時間以内に、皮膚症状だけでなく、呼吸や循環、消化器、神経などの全身の症状がでる状態をアナフィラキシーと言います。さらに血圧低下や意識障害を伴う場合はアナフィラキシーショックと言います。アナフィラキシーを起こしたことがある場合には、学校や園での対応を相談し、病院外でアナフィラキシーが起こった場合の対処法(アドレナリン自己注射(エピペン))を知っておく必要があります。
子どもの食物アレルギーが疑われる場合には是非小児科にご相談ください。

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