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やすらぎ通信

2025.01

ドクターコラム
「糖尿病の今と昔」

糖尿病の歴史

糖尿病の歴史は、紀元前 15 世紀頃のエジプトから、印度、中国の古文書 に散見します。その中で、1862 年エジプトのテーベスの墓でエルベスが発 見したパピルス「多尿を駆逐する医薬」に関する記載があり、糖尿病に関す る最初の記載とみなされています。  では、日本で一番最初の糖尿病患者は誰でしょう。一説によると平安時代 中期に活躍した藤原道長(966 ~ 1027)です。道長は、日記「御堂関白記」や「小 右記」に、口の渇きや脱力感、視力低下、背中への腫れ物などの症状を訴え ていたことが記されています。これらの症状は、糖尿病や合併症を示すもの と考えられています。

糖尿病の治療薬

糖尿病の治療薬で一番古いものは「インスリン」です。インスリンは 1921 年(大正 10 年)に、カナダの外科医フレデリック バンティングと助 手のチャールズ ベストによって発見されました。バンディングとベストは、 膵臓を摘出した犬のマージョリーに、膵臓の抽出物を注射すると血糖値が 2 時間で 50% 下がることが確認され、その抽出物をアイレチン(インスリン) と名づけました。  その後1950年代に飲み薬が開発され、現在も新しい内服薬や注射薬が次々 開発されています。直近では週1回持効型溶解インスリンアナログ注射液「ア ウィクリ ® 注 フレックスタッチ ® 総量 300 単 位 」が 2025 年 1 月 30 日 より発売になります。

糖尿病患者の寿命


日本糖尿病学会の「アンケート調査による日本人糖尿 病の死因-2011 ~ 2020 年の 10 年間、68,555 名での 検討-」によると糖尿病患者の平均寿命は、男性で約 74.4 歳、女性で約 77.4 歳です。これは、厚生労働省が 発表した 2020 年の日本人の平均寿命(男性 81.6 歳、 女性 87.7 歳)と比較すると、男性で 7.2 歳、女性で 10.3 歳短いことになります。しかしながら前回調査と 比べて男性で 3.0 歳、女性で 2.2 歳、それぞれ延命して いることが示されました。  これは、日本人一般の平均寿命の伸び ( 男性 2.0 歳、 女性 1.4 歳 ) よりも大きく、日本人一般の平均寿命と糖 尿病症例の平均死亡時年齢の差は縮まってきています。


最後に
残念ながら、現在の医学知識では糖尿病は治る病気で はありません。しかし、適切に治療をして、良好な血糖 コントロールを維持できれば、合併症の進展は防ぐこと ができます。糖尿病と上手につきあえば、一病息災も可 能です。



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