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やすらぎ通信

2024.07

ドクターコラム
「虫垂炎」のおはなし

虫垂炎とは

「盲腸を切りました」「盲腸を手術しました」過去の病気について質問すると、しばしば返ってくる答えです。よく確認すると、その大部分は「虫垂炎」の手術です。
虫垂は、大腸の一部である盲腸に付いている、虫の様に細長いもので、これが炎症を起こすのが「虫垂炎」です。
小児に限らず、成人・高齢者まで、幅広い年齢層でみられる頻度の高い病気の一つです。


虫垂炎の原因


虫垂炎がなぜ起こるのか、はっきりわかっているわけではありませんが、虫垂内部は狭いので、糞石が詰まったり、屈曲の加減で、内部の圧が上昇して循環障害が起こり、細菌による炎症を起こすのではないかと考えられています。炎症を起こした虫垂は腫れ上がり、炎症が進行すると、破れたり(穿孔)、膿が溜まったり(膿瘍形成)して、いわゆる「腹膜炎」の状態となります。


虫垂炎の症状


一般的には右下腹部の痛みがみられますが、炎症が進行すると痛みは強く、範囲も拡がっていきます。小児では症状が訴えられなかったり、典型的でなかったりして、診断が困難なこともしばしばみられます。

虫垂炎の治療

 軽症のものでは保存的治療が行われます。絶食にして腸管を安静にして点滴を行い、抗生物質を投与します。いわゆる「薬で散らす」という方法です。


炎症の程度が強いものや、保存的治療が有効でないものには、手術が行われます。
中学生以下は小児外科で、高校生以上は消化器外科で手術を行っています。
現在、当センターでの虫垂炎手術は小児も成人もほとんど全例、単孔式の腹腔鏡下手術が行われています。臍の真ん中を縦に切開して、ここから腹腔鏡と操作鉗子を入れて手術を行います。
手術の傷は、ほぼ臍の中におさまるか、上下に少し伸びているような傷になります。膿が溜まっていた場合には、ドレーンという管が入ることがあります。


 

虫垂炎の入院期間


入院期間は、炎症の強さに影響されます。「盲腸で一週間入院」というイメージをお持ちの方が多いようですが、穿孔・膿瘍がなければ一週間かからないことが多いです。穿孔・膿瘍がある場合は一週間を超えることが多いようです。


虫垂炎の医療費


医療費の計算は複雑で、年齢や入院した時の状態、入院期間などにより変わります。
手術については、腹腔鏡手術は使用する機器が多くなる分、値段は高くなりますが、腹腔鏡手術の方が入院期間は短くなり、トータルでは医療費は下がるとされています。
大阪市では、この4月から「こども医療費助成制度」の所得制限が撤廃されました。(従来は12歳から18歳までは保護者の所得制限がありました。)中学生・高校生の医療費負担は軽減されました。なお、「こども医療費助成制度」についてはお住いの市町村ごとに対象年齢や所得制限の有無など、条件が異なりますので、お住いの市町村にご確認ください。

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